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アイ・オー・データ動画デジカメAVMC212レビュー

アイ・オー・データのMotionPixシリーズの3世代目となり、MPEG4を採用したAVMC212。前機種のAVMC211やライバル機種との比較を交えながら、この製品のレビューをお送りする。

デザインを一新、電源も変更

MotionPixは世代が変わるたびにデザインを変更してきたが、今回も前機種からデザインが変更された。また、色もスノーホワイトとマンダリンシルバーの2色が用意された。電源を従来の単3乾電池から専用の充電池に変更したことで前機種よりも薄くなった。ディスプレイは折りたたみ式になっているが、前機種と同様、折りたたんだ状態でも本体からは出っ張った状態となる。ライバルのChe-ez!シリーズではMovixにしてもDV-4にしても、ディスプレイを折りたたむと本体と同一平面になり、見た目のデザイン面では一歩譲る。
また、電源スイッチやディスプレイの開閉は硬く、安っぽい印象を受ける。特に電源スイッチは押ボタン式でもよかったのではないかと思う。

ズームはボタンではなく、ダイヤル式のものに変更された。またこのズームスイッチの真中を真下に押し込むと露出を固定することができるようになった。

電源が乾電池から専用の充電池に変更になったことで、専用のACアダプタが標準添付されている。このACアダプタは充電専用で、ACアダプタを接続した状態で本体を稼動させてはいけないことになっている。また、PCとUSBで接続するときも、十分に充電した上で使用するように指示されている。ACアダプタからは充電池にのみ電力が供給され、本体回路には供給されず、USBバスパワーにも対応していないと思われる。

もりだくさんの添付品

Che-ez!シリーズのMovixやDV-4はレンズが奥まったところにあり、指で触れることはできないようになっているのに対し、Motion Pixシリーズではレンズやレンズカバーが本体前面にあり指でも触れられるようになっている。そのため、AVMC211ではレンズの汚れを気にする必要があったが、AVMC212ではMovixと同じようなゴム製のレンズキャップが添付されるようになった。添付されているひもで本体のストラップ穴に付けることができる。

また、ネックストラップも添付されている。しかしストラップ穴が1つしかないためレンズキャップとの併用が難しい。

三脚も添付されるようになった。この三脚はさまざまな会社から数百円で売られているものと同じで、私もすでに同じものを持っていた。

ビットレートにモノを言わせた画質

さて、肝心の画質・音質に着いてはどうだろうか。AVMC212では解像度と圧縮率が1対1で対応しているため、解像度を選んだ後に画質モードを選ぶといった操作はなく、単純に解像度を選択するだけになっている。デジタルカメラでは1つの解像度に複数の画質モードがあっても、結局は最高画質モードで撮影することが多いと思われるので、この仕様は妥当だと思う。

AVMC212では動画では640×480・352×288・320×240の3種類があり、フレームレートはそれぞれ10fps、30fps、30fpsとなる。しかし、640×480ではカクカクした感じとなり、あまりお奨めできない。一応「VGAサイズでも撮れます」と謳うためにこのモードが用意されているような感じだ。実際には352×288モード以下で撮影するのが賢明だろう。640×480モードで撮影するよりも320×240モードで撮影して見るときに拡大表示した方がよいのではないか。後述の通り、画質はよいので縦横2倍程度なら拡大しても鑑賞に堪えると思う。

実際に撮影してみたが、画質はよいと思う。解像度の割に解像感が高い、ということになるだろうか。ブロックノイズやざらつきが少ない。ビットレートをみると、ファイルによっても異なるが700~1000kbpsになる。これは現在ブロードバンド向け動画配信に使われているコンテンツと比べてもかなり高い方になる。これだけビットレートを使えば画質はよくて当然ともいえる。

また、音質については、Motion PixシリーズはChe-ez!シリーズと比べて音割れなどが少なく良好であったが、それはAVMC212でも同様のようだ。

【動画サンプル】
通過電車
Motion Pix AVMC212(AVI,3.78MB) 曇天だったためやや暗い
Motion Pix AVMC211(AVI,3.82MB)
Che-ez! Movix(AVI,1.67MB)

動画撮影の操作感

電源を投入してから撮影可能になるまでの時間は速く、3秒もかからない。また、AVMC211では前回使用時のモードに関係なく動画モードで起動していたがAVMC212では前回電源を切ったときのモードを記憶するようになった。

動画モードではシャッターボタンを押すと録画が始まり、もう一度押すと終了する。このボタンは前後に長く1cmくらいあるが、実際のスイッチはシャッターボタンの後ろ端にあり、やや押しづらい。また、シャッターボタンを押す音も動画に入ってしまうことがあるので、それを防ぐためにはシャッターボタンを後ろ端をそっと押すのがよい。

前機種と比べて大きく変更されたのがズーム。光学ではなくデジタルズームだが、ズームスイッチが押しボタンからダイヤル式に変わった。前に倒すとズーム、後ろに倒すと引きになる。ズームの段階も無段階ではないが、操作中徐々にズームの度合いが変わるようになった。ただ、その速度がやや遅く、早くズーム端・テレ端に持っていきたいときは不便だ。

このズームスイッチの真中を真下に押し込むと露出を固定することができるようになった。AVMC212では露出は自動露出のみで手動での変更はできない。しかし、ボタンを押した時点の露出を固定させ撮影中に露出が変わらないようにすることができるのだ。実際、露出を固定しないで撮影すると撮影中に自動露出機能によって刻々と露出が変わってしまい見苦しくなることがある。これはChe-ez! DV-4でも顕著に見られる現象だが、DV-4では露出は自動かプリセットの中からの選択となっている。自動露出が選んだ露出を好きなところで固定できるのは便利ではあるが、小さな液晶ディスプレイに映る映像を見ながら最適な露出になったところを見計らって露出を固定するのは難しい。

使っていて気づいたのだが、ディスプレイに表示される残り録画可能時間がおかしいような気がする。320×240モードに比べ、352×288モードの方が残り録画可能時間が1.5倍も長く表示されるのである。フレームレートが同じで解像度が高いのだから352×288モードの方が残り録画可能時間は短くなるはずで、実際に両方のモードで撮影してみたがやはり352×288モードの方が320×240モードよりも時間当たりのデータ量は多い。なぜこのような表示になるのかは不明だ。

前機種では時計を内蔵しておらずファイルのタイムスタンプがめちゃくちゃだったが、AVMC212ではちゃんと時刻を設定できるようになったのでPCに転送した後のファイルの整理はやりやすくなった。また、ファイル名に付く連番はメモリカードからファイルを消すとリセットされるのでPCに転送したらすぐファイル名を変える習慣をつける必要があるだろう。

バッテリの蓋とメモリカードの蓋が共用されているのはChe-ez! DV-4と同じであるが、DV-4では蓋を開けると内蔵時計がすぐリセットされてしまうのに対しAVMC212ではしばらくは保持されるのでメモリカードの出し入れに神経質にならなくてもよいのは助かる。

■まとめ
AVMC212はデザイン面などでこなれていないところはあるものの、MPEG4動画ファイル作成装置としてみれば結構使えるのではないかと思う。

この製品はアイ・オー・データが掲げるAVeLコンセプトに基づく製品であるが、デザインなどではまだ、「パソコンの周辺機器」から脱却できていない面もある。この種の製品においては技術的な性能・機能もさることながら、「持つ喜び」をユーザーに与えられるかということも重要な要素となってくる。Motion Pixシリーズが単なる周辺機器から、持つ喜びを感じられるアイテムになるべく、さらなる進化を遂げることを期待したい。