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ギャオプラス使用レポート

Audio & Visual

(2007.2.10)

USENのPC向け映像配信サービス「GyaO」をPCを使わずに家庭用テレビで視聴するためのセットトップボックス(STB)「ギャオプラス」を使用してみた。

特徴

ギャオプラスのインジゲータ群

[写真]前面インジゲータ群(クリックで拡大)

ハードウェアは米モトローラ製。WindowsCE 5.0を搭載する。同社製のVIP1200JというSTBをベースにアイ・オー・データ機器がGyaO視聴専用のソフトウェアを開発し、USENから販売されている。つまり、テレビに接続できるWindowsCEマシンである。

本機は筐体にモトローラのロゴがあることから、モトローラのリファレンス設計をそのまま使用しているようだ。そのためか、機能の割には大型で、単体の地上/BS/CSデジタルチューナー並みの大きさとなっている。

本体には電源ボタンの他、カーソル・決定・メニューボタンがあり、リモコンがなくても最低限の操作はできるようになっている。また、LINK、HD、RECORDの3つのインジゲータがあり、ファームウェア更新時にRECORDランプが点灯していた。HDインジゲータというのはHDTVモードのことかと思ったが、本機にはVIP1216Jという姉妹機があり、こちらはHDDを搭載したデジタルビデオレコーダ(DVR)となっている。このため、このHDインジゲータはHDDのアクセスランプと思われる。本機にはHDDは搭載されていないので電源投入時以外は点灯することはないようだ。

未完成?

本機はHDMI端子を搭載しているが、現時点では使用できず後日ファームウェアの更新によって使用可能になる予定だという。D端子も現時点ではD1(480/60i)/D2(480/60p)しか出力できず、D3(1080/60i)/D4(720/60p)出力は後日ファームウェアの更新によって使用可能になる予定だという。そのため、ファームウェアが未完成のまま製品が出荷されたような印象を受ける。なお、USB端子も装備されているが、マニュアルによればこれはそもそも使用しないようだ。

初期設定

モニターと接続し、ACアダプタを挿すと電源ボタンを押さなくても電源が入り画面に初期画面が映し出された。コンポジット・Y/C(S端子)・コンポーネント(D端子)を接続したが、それらのすべてから同時に映像が映し出された。これはありがたい仕様だ。また、初期状態ではD端子からはD1出力(480/60i)で出力される。

最初に電源を入れると、ユーザー登録を促す画面が表示される。ユーザー登録が終わると、同梱されている紙片に書かれていた通りファームウェアのアップデートが始まった。この時点ではまだネットワークの設定は行っていなかったが、DHCPが使用できるネットワーク環境であったため自動的にDHCPを使用してネットワークに接続したようだ。 紙片には15分程度かかると書かれていたが、実際には数分で終了した。ファームウェアのダウンロードにかかる時間は回線の種類や状況によるため、余裕を持って長めに書いてあるようだ。ファームウェアのアップデートが終了すると自動的に再起動する。

つづいて、視聴のための情報(郵便番号・性別、など)を入力すると設定が終了し、「チャンネルトップ」というポータル画面が表示される。この画面は左段にチャンネル一覧、中央部に映像、右段に視聴ランキング、下段には操作ガイドなどが表示される。

これでもう視聴できるようになったわけだが、筆者はここで、ネットワークの設定(DHCPから固定IPアドレスに)、映像出力の設定(D1からD2(480/60p)に)を行った。

視聴してみて

今回は、

  • 6AD5 家庭用のCRTテレビ(コンポジット)
  • LCD-7100V PC用だがコンポジット入力もあるLCDモニタ
  • PVM-14L1 SDの業務用CRTモニタ(コンポジット、Y/C)
  • DT-V1710C HDの放送用CRTモニタ(コンポジット、Y/C、アナログHDコンポーネント)

に接続した。本機にはコンポジット出力は2つしかないが、スプリッタ(分配器)を使用して同時に接続した。また、Y/C出力も1つしかないが、PVM-14L1のY/Cスルーアウト出力をDT-V1710C(に装着したIF-C01PN)のY/C入力に接続した。

GyaOはもともと高画質を追求したサービスではないので、画質について評価するのはあまり意味がないかもしれないが、モニタの種類や接続の仕方でどの程度違うかを見てみた。

HDモニタで見るとD2出力でもさすがにアラが見えるものの、GyaOの元々の画質を考えればまぁ納得のいくレベルだろう。SDモニタで見た場合は感覚としてはVideoCD程度といったところか。ノーマルVHSくらい、といってもいいかもしれない。本機から直接出力されている映像なので、PCのアナログRGB出力をスキャンコンバータを通してテレビに映すよりはきれいである。

また、画質とは直接関係ないが、ギャオプラスの映像出力は周辺部が黒い帯になっており、モニタ側がオーバースキャン表示しているにも関わらず、表示領域内にすべての内容が収まっている。このため、モニタ側をアンダースキャン表示にするとさらに映像が小さくなり、いわゆる「額縁画面」になってしまう。このへんは、GyaOが「パソコンテレビ」だからこそなのだろう。

他に、映像の切り替わり時に、最初の1秒間、画面下部に映像を横切るように

再生中(00:00/00:30)

というような帯がいちいち表示されてしまう。CMのときも、CM1本1本ごとに表示される。

チャンネルトップには現在0から12までのチャンネルがあるが、リモコンのチャンネルボタンは0~9までしかないため、10・11・12チャンネルを選択する場合は2つの数字ボタンを押さなければならず不便だ。専用リモコンなのだから、全チャンネルに1対1で対応するボタンをつけて欲しかった。

価格など

本稿執筆時点ではインターネット上のGyaOセレクトショップのみでの販売となっており、1万台限定販売で価格が24,800円となっている。売れ行きがよかった場合、追加で販売される可能性もあるようだが、限定価格を謳っている以上、追加分は24,800円より高くなると思われる。しかし、録画機能もなくただGyaOを見るだけの機器の価格としては24,800円でも高く感じられる。そのため、本機は広報的な目的にとどめ、今後は各社のネットワークメディアプレーヤにGyaO視聴機能を搭載してもらう方向に進むのではないだろうか。特に、今回ソフトウェアの開発をアイ・オー・データ機器が行っていることから、同社のAVeL LinkPlayerへの搭載が期待される。そうなれば、競合他社も追随することになるだろう。