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HDC-SD7 レビュー

Audio & Visual

(2008.1.29)

PanasonicのAVCHD規格ビデオカメラHDC-SD7をライバル視されるSANYOのXacti DMX-HD1000との比較を交えてレビュー。

唯一の縦型 いまだ現行機種

AVCHD機の中で全メーカーをとおして唯一の縦型ボディとなっている。同世代で横型のHDC-SD5にはSDカード記録のみのHDC-SD9とHDDとのハイブリッド型のHDC-HS9が後継機種として発表されているがHDC-SD7には後継機種がなく、いまだに現行機種となっている。ソニーもハイブリッド機に重点を移しつつあり、小型軽量と旨とする本機は貴重な存在となっている。縦型機はアメリカなど海外市場では人気がないらしく、今後も新機種が投入されるかはやや不安視されるところだ。

電源周りが弱点

本機をXactiシリーズなどと比べたときに大きな弱点となるのは電源周りだろう。HDC-SD7のACアダプタはバッテリーの充電器と兼用になっており、バッテリーを充電するときはバッテリーを本体から取り出してACアダプタに取り付けて充電を行い、本体をAC駆動するときは、これまたバッテリーを本体から取り出して、ACアダプタに接続したケーブルの先端部を本体の電池室に差し込むようになっている。また、1個のACアダプタでバッテリの充電とAC駆動は同時には行えない。Xactiではバッテリを本体に装着したままでACアダプタを本体に接続するか、ACアダプタを接続したクレードルに載せれば、充電もAC駆動もできる(AC駆動していないときに充電が行われる)のでこれに慣れていると本機の扱いはストレスとなる。

マニアックな撮影機能

本機はライトユーザーを対象としていると思われるが、水平垂直のマーカーを表示できたり、ゼブラパターン(輝度が一定値を超えている部分に縞模様を表示して警告する機能)を表示できたりと業務機のような機能も付いている。一般に、ゼブラパターンは基準値をIRE100%に設定してゼブラが出ないように露出を調整するか、IRE70%に設定して人の肌にゼブラが載るように調整するが、本機には基準値の設定がない。マニュアルを読むとゼブラが出ないように調整せよとあるので、IRE100%が基準になっているようだ。また、マーカーは水平3分割・水平垂直3分割(画面9分割)・水平垂直に細かく分割、が選べる。さすがに4:3マーカーや安全フレームマーカーまでは出せないが、画面9分割が表示できれば十分だと思った。さらに、カラーバーの表示までできる。このクラスの民生機でここまで搭載しているのはよくやっていると思う。

クリック感のないボタン

本機はXactiをよく研究しているようで、ボタン配置もよく似ている。XactiではDMX-HD1000の世代になって、ズームレバーが中央から左に移動したが、本機のズームレバーは中央部についており、DMX-HD1と同じになっている。また、ズームレバーや撮影ボタンの下のほうにスティック式の方向ボタンが付いているのもXactiと同じだ。本機のボタンはクリック感に乏しく、きちんと押されているのかどうかが分かりにくく、押したつもりがないのに指が触れて録画ボタンが押されて録画が始まってしまうこともあった。方向ボタンはさらに押しにくく、とくに決定のつもりで中央に押し込んでいるのに、カーソルが動いてしまうのはストレスが溜まった。

AVCHDゆえのPCとの親和性の低さ

本機はAVCHD規格に準拠しているわけだが、このAVCHD規格というのはBlu-ray Discに準じたものになっており、動画を撮影すると映像のファイル(数字5桁の連番で拡張子が.MTS)がSDカードの「\PRIVATE\AVCHD\BDMV\STREAM」ディレクトリ作成されるほかに、プレイリストなどもファイルも同時に作成・更新される。いわば、撮影しながら同時にオーサリングも行っているようなものだ。これらのファイルは相互に関連しており、PCでファイルを消したり、名前を変更したりするとそれらのファイル間の整合性が崩れてしまい、本機がSDカード上の情報を認識できずにエラーになってしまう。この場合修復機能が働くので撮影不能に陥ったりはしないのだが、別々に撮影した動画ファイルをSDカードに入れておき、カメラ上で再生して人に見せる、ということが事実上不可能になってしまっている。従来のムービーカメラではファイル名の命名ルール(XactiならSANYnnnn.MP4になる、など)さえ知っておけば、PCで保存していたファイルをカメラに戻して再生する、ということが容易に行えただけに、PCとの親和性は大きく低下してしまっていると言わざるを得ない。SDカードの内容をPCに逃がす場合は\PRIVATEフォルダ以下、あるいは\PRIVATE\AVCHDフォルダ以下をフォルダ構造ごとまるごとコピーした方がよいだろう。

▲AVCHDのフォルダ構造

フィルタ径は37mmなので、…

本機にはシャッター付きフィルタが装着されているが、これを取り外してオプションのテレ/ワイドコンバージョンレンズなどを装着することができる。フィルタ径は37mmとなっている。その数字を見て、ためしにやってみたのが、ソニーのワイドコンバージョンレンズVCL-HG0737C(0.7倍)の装着だ。目論見どおり使用することができた。メーカーの保証外なので自己責任での利用となるが、問題なく使えるようだ。ワイドコンバージョンレンズは大きさ・重量とも結構大きいので、装着時は右手で本体を持ち、左手を液晶ディスプレイではなくワイドコンバージョンレンズに添えるのがよいようだ。本機のレンズはワイド端で42.9mm(35mm判換算)なので、このワイドコンバージョンレンズを装着すると30.03mm(同)となる。このクラスのカメラは本格的に使いこなそうとするとワイド端の不足が構図を決める上で制約となるので、ワイドコンバージョンレンズが欠かせない。そのため、他のカメラと共用できるのはありがたい。

画質はビデオ調

画質はAVCHD機ということもあり、細部に若干の眠さを感じることもあるが、よく撮れている。DMX-HD1000では蛍光灯下の撮影でフリッカーが生じることがあったが(Xacti DMX-HD1000レビュー参照)、そういったこともなく、また暗所でも比較的ダイナミックレンジが確保できているようだ。なお、暗所ではフレームレートが落ちるのはDMX-HD1000と同じである。また、DMX-HD1000との比較という点で言えば、ビデオモニターに映したときにDMX-HD1000はシネマ調の映像になるのに対し、本機は普通にビデオ調の映像になる。このあたりは、デジタルカメラとビデオカメラという両機の出自の違いが反映されているのだろう。

編集のワークフロー

AVCHDに対応したビデオ編集ソフトも徐々に揃いつつあるが、単純なカット編集をこえる編集を行おうとするとHDVに比べてまだまだ選択肢が少ないのが現状だ。筆者はカノープスが無償配布している「Canopus AVCHD converter」でCanopusHQコーデックのAVIファイルに変換して編集している。以下のサンプルもこの方式で編集している。

動画サンプル

【HDC-SD7編集サンプル】428×240ピクセル、FLV形式、1Mbps。【2020.7.26】動画をMP4形式(1440×1080ピクセル、4Mbps)に変更。Powered by ERB

20080126_tamazoo.m2t HDV形式MPEG2-TS 387MB

HDC-SD7にソニーのワイドコンバージョンレンズVCL-HG0737Cを装着して、HG1920モードで撮影。撮影したファイルをCanopus AVCHD converter Ver2.00で1920×1080ピクセルのCanopus HQコーデックのAVIファイルに変換し、EDIUS 3 for HDVで編集。1440×1080ピクセルのCanopus HQコーデックのAVIに出力して、TMPGEnc 4.0 XPressでFlash Video(On2VP6)形式でエンコード。
比較しやすいようにXacti DMX-HD1000レビューのサンプル動画と同じ構成で編集してある。