(2008.2.17)
iPodによる寡占化が進むポータブルオーディオプレーヤー市場にあって数少ないライバル製品であるCreativeの「ZEN」向けの動画ファイルを作成するための方法について
最初からナンですが
最初におことわりしておきますが、ZENを動画の再生を主目的として購入されることは筆者としてはおすすめしません。ZENはQVGA(320×240)のフルカラー液晶を搭載するなど一見動画再生に向いているように見えますが、音楽ファイルと違ってプレイリストを作って複数のファイルを連続で再生することもできず、1つのファイルを繰り返し再生することもできず、つまり、選択したファイルの再生が終わると一覧画面に戻るだけであり、動画プレーヤーとしては優れているとはいえません。また、iPod用の動画ファイル(.MP4など)も再生できません。動画再生はおまけ程度の位置づけのようです。このQVGA液晶はフォトプレーヤーとして使うために付いている、と考えた方がよいです。
製品付属のビデオコンバータは使わない
ZENに付属のCDからアプリケーションをインストールするとZENをマイコンピュータ上にドライブ(ただしドライブ文字は付かない)として認識させるソフトとともに、Creativeビデオコンバータというソフトがインストールされ、動画ファイルをビデオフォルダにコピーしようとしたときに自動でZEN用の動画に変換してくれたり、また、ビデオコンバータを単独で起動して動画ファイルを変換したりできるようになっています。このコンバータを使うと次のようなフォーマットのファイルに変換されます。
映像コーデック | Windows Media Video 9 |
サイズ | 320×240ピクセル |
フレームレート | 30フレーム/秒 |
ビットレート | 414/764/835kbps |
音声コーデック | Windows Media Audio 9.2 |
音声フォーマット | 128 kbps, 44 kHz, stereo CBR |
しかし、困ったことにこのコンバータで変換したファイルをZENで再生すると、414kbpsで変換しても映像の動きの激しい部分では音飛びが発生するなどまともな再生ができません。
そこで、映像の内容に関わらず音飛びが発生しないように再生できるようにするにはどのようなエンコードを行えばよいのか試行錯誤してみました。その結果がこれです。
映像コーデック | XviD (バージョン1.1.3以上) |
ファイルコンテナ | AVI |
サイズ | 320×240ピクセル |
フレームレート | 29.97 fps(プログレッシブ) |
Profile @ Level | Advanced Simple @ L3 |
Encoding type | Single pass |
Target bitrate | 768kbps |
Quality preset | General purpose |
音声コーデック | MP3 |
音声フォーマット | 128 kbps, 44100 Hz, ステレオ(ジョイントステレオ) |
Creativeビデオコンバータは使用せずに、市販ソフトであれば、「TMPGEnc 4.0 XPress」などを、フリーソフトで済ませるのであれば、「AviUtl」や「午後のこ~だ」などを使用すればこのようなファイルを作成することができます。
プロファイルとレベルはSimple @ L3よりもAdvanced Simple @ L3を選択した方が画質が良くなります。Advanced Simple @ L4以上を選択してしまうと音飛びが発生しやすくなります。また、Quality presetはReal-timeよりもGeneral purposeを選択した方が画質が良くなります。なお、XviDの設定画面で、Print degug info on each frameのチェックははずしておきましょう。これのチェックが入っていると作成されたファイルにタイムコードなどが映像の上に表示されてしまいます。
【エンコードサンプル】
20080126_tamazoo.avi (2分00秒、13.1MB)
映像:XviD圧縮AVI、320×240ピクセル、29.97fpsプログレッシブ、AS@L3、768kbpps、16:9レターボックス
音声:MP3形式、44.1kHz、128kbps、ジョイントステレオ