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ギャオプラスがHD出力とOperaに対応

Audio & Visual

(2008.8.17)

前回のレビューから約1年半。途中で製品の位置づけが「GyaOを家庭用テレビで見るための機器」から「有料サービスであるGyaO NEXTを視聴するための機器」に変化した「ギャオプラス」。2008年の8月になって、後継機種の発表と同時にすでに発売されているギャオプラスについても機能追加が発表された。

ここでは初代ギャオプラス(VIP1200J)に追加された機能の使い勝手をレビューする。

2回のファームウェア更新

久しぶりに箱から引っ張り出してきたギャオプラスをネットワークに接続して起動すると、早速ファームウェアのバージョンアップが始まった。ファームウェアの更新が終わり、機器が再起動すると、再びファームウェアのバージョンアップが始まった。1回目がシステムのアップデート、2回目がOperaのインストールだろうか。

HD出力に対応

従来ギャオプラスではD端子を搭載しているもののD2(480/60p)までしか対応しておらず、HDMI端子にいたっては搭載しているだけで何も出力できなかった。

HDMI端子を使用できないのは今回のアップデートでもそのままだ。一方、USENではほとんど告知していないが、D端子についてはD3(1080/60i)とD4(720/60p)のHD出力も選択できるようになった。

しかし、表示内容はD1/D2でもD3/D4でもまったく同じであり、D3/D4を選択しても単にアップコンバートされて出力されるだけである。また、操作画面のアスペクト比も調整されず、D3/D4ではD1/D2の場合と比べて単純に上下が圧縮された状態で表示される。なお、番組はD3/D4でも正しいアスペクト比で表示される。

GyaO/GyaO NEXTともに、現状ではSD画質のサービスであり、HDTV画質の番組はないことから、ギャオプラスだけがHD出力が可能になったことをアピールしてもかえって混乱を招くと考えて、ほとんど告知していないのだと思われる。

Opera追加

今回のアップデートの目玉となるのは、ウェブブラウザ「Opera Ver.9.5 for device」の追加だ。これにより、ギャオプラスは従来の「GyaOをテレビで視聴する機器」に加えて「テレビでインターネット(ウェブ)を閲覧する機器」としての側面を持つことになる。

トップ画面のデザインも変更され、左下に「インターネット」ボタンが追加されている。

ギャオプラストップ画面
ギャオプラスの新しいトップ画面。左下に「インターネット」ボタンが追加されている。

Opera – 機能は低い

トップ画面から「インターネット」を選択すると、常に最初に「インターネット閲覧時のリモコンの使い方」という画面が表示される。

この画面は初代ギャオプラス(VIP1200J)と新型ギャオプラスで共用になっており、新旧のリモコンを選択することでそれぞれのボタン割り当て表を見ることができる。(下表)

ブラウザ操作

リモコンキー ブラウザ動作
チャンネル(↑) URL直接入力
チャンネル(↑) 「お気に入り」表示/非表示
上下左右 フォーカス移動、ページスクロール
ホーム ユーザー選択画面へ戻る
決定 決定
キャンセル 中止(読み込み中止)
再生/一時停止 ページ更新
戻る(前のページへ移動)
停止 ブラウザ終了
進む(次のページへ移動)

文字入力操作

リモコンキー 動作
クリア 1文字削除
文字モード 文字種変換(全角/半角切り替え)
音量(+,-) 文字変換
左右 カーソル移動
決定 決定
キャンセル キャンセル

 

キー 動作(全角の場合) 動作(半角の場合)
1 あ → い → う → え → お
→ ぁ → ぃ → ぅ → ぇ → ぉ
. → : → / → @ → = → –
→ ? → ! → ( → ) → _ → ‘
→ & → \ → 1
2 か → き → く → け → こ
→ が → ぎ → ぐ → げ → ご
a → b → c → A → B → C → 2
3 さ → し → す → せ → そ
→ ざ → じ → ず → ぜ →ぞ
d → e → f → D → E → F → 3
4 た → ち → つ → て → と → っ
→ だ → ぢ → づ → で → ど
g → h → i → G → H → I → 4
5 な → に → ぬ → ね → の j → k → l → J → K → L → 6
6 は → ひ → ふ → へ → ほ
→ ば → び → ぶ → べ → ぼ
→ ぱ → ぴ → ぽ → ぺ → ぽ
m → n → o → M → N → O → 6
7 ま → み → む → め → も p → q → r → s
→ P → Q → R → S → 7
8 や → ゆ → よ
→ ゃ → ゅ → ょ
t → u → v → T → U → V → 8
9 ら → り → る → れ → ろ w → x → y → z
→ W → X → Y → Z → 9
0 わ → を → ん→ 全角スペース
→ 、 → 。 → ー
半角スペース → , → . → – → 0

[表]リモコンボタンの割り当て。VIP1200Jのもの。

この画面の下部にある「インターネットへ」ボタンをクリックすると、www.google.co.jp のページが表示される。この設定は変更できないようで常にGoogleのページが表示される。

Operaの画面

Operaの画面。フォントの大きさは変更できない。

また、環境設定の中にFlash Playerの有効/無効を選択する画面があり、デフォルトでは無効になっている。Flashを含むページを閲覧する場合はここでFlashを有効にしておく必要がある。

Flash Playerの有効/無効設定画面

Flash Playerの有効/無効設定。デフォルトでは無効になっている。

実際にいくつかのサイトを見てみたが、VGA(640×480ピクセル)相当の情報量しかなく、またフォントは大きめで、大きさを変更することもできないため、画面はかなり狭い。

Flashコンテンツについても、ものによって表示できたりできなかったりとばらつきがあった。

ギャオプラスは映像を視聴するための機器であるわけだが、Operaからの映像視聴はほとんど行えなかった。YouTubeなどで使用されているFLV(Flash Video)を再生するページを表示させても再生できず、WMVファイルやWMVファイルを参照するASXファイルなども再生できなかった。

そればかりか、アプリケーションエラーが発生したり、いきなり再起動してしまうなど不安定さが見られた。

Operaのアプリケーションエラー

Opera使用中にアプリケーションエラーが発生することがある。

また、URLの入力にはソフトウェアキーボードは使えず、リモコンの数字ボタンを使用した携帯電話式の入力のみとなっている。入力モードも英文字モードとかなモードのみで、数字モードはなく、数字は英文字モードで入力することになる。今回のレビューでは、テスト用のウェブサーバーにhttp://192.168.~というローカルIPアドレスで接続したのだが、数字の入力が大変でアクセスするのに苦労した。

まとめ

今回対応した、HD出力は発売当初から告知していたものであり、発売から1年半たってようやく部分的であれ約束を果たしたことになる。しかし、1年半も待たせた割には表示内容がHD化されたわけでもなく、なぜ1年半もかかったのか、という思いの方が強い。

一方、Operaの追加は意外であった。冒頭でも述べたように、ギャオプラスは発売された後に製品の位置づけが変更になり、当初の目的(家庭用テレビで無料サービスであるGyaOを視聴する)で購入したユーザーにとっては何となく期待を裏切られたような感じになっていた。今回ウェブブラウザ機能が追加されたことで、そのような状況に一矢を報いたとは言えるかもしれない。

しかし、本機のOperaは決して高機能とは言えず、テレビに接続できるとはいえわざわざ本機でウェブ閲覧を行うメリットはほとんどないと言わざるを得ない。

Operaの搭載にあたってはOpera社へのライセンス料の支払いなどコストもかかっているはずであり、コストをかけてまで追加したということは何らかの意図があるはずだが、現時点ではそれが見えてこない。PC版GyaOでは番組のページに関連グッズの販売ページなどへのリンクがあり、ビジネスにつなげているわけだが、同じようなことをギャオプラスでも可能にしようとしているのではないかと思われる。現状ではギャオプラスで番組を視聴しているときには番組の映像のみが表示され、関連ページへのリンクなどは表示されないが、将来的にはそのような表示が行われるようになるのだろうか。