2020年の年末、ジャンク品として売られていた中古PCを購入した。動作確認から、Windows10 PCとして使えるようにする改造まで。
筆者は中古品店を巡り、そのままでは動かないものの、(はんだごてまでは使わなくてもいい程度の)メンテナンスをすれば復活させられそうな「マイルドジャンク品」を買って、復活させる活動をしている。これを「保護猫活動」になぞらえて「保護デバイス活動」と呼んでいる。
今回のターゲット
購入したのは、富士通のFMV-BIBLO NF/B70(2008年秋冬モデル)。カラーは赤。ハードオフでジャンク品として4,400円(税込)だった。付属品はACアダプタのみ。
購入したハードオフの近くにあるじゃんぱらで256GBのSSD(新品。3,480円(税込))と2GBのメモリ2枚(中古。480円(税込)×2)も買ってきた。SSDだけ新品なのは、ハードオフで売っていた中古のSSDよりもこちらの方が安かったからである。
電源を入れてみる
まず、買ってきたままの状態で、ACアダプタ接続し、電源を入れたら、Windows Vista Home Premium(32ビット版)が起動した。ジャンク品扱いではあったものの、CPU・メモリ・ストレージなど、動作に必要な部品は欠けていないようだ。
リカバリディスクの作成
画面を確認すると、「マイリカバリ」という機能から製品出荷時の状態に戻すリカバリディスクを作成できるようだったのでとりあえず作成しておいた。
HDDのSSD化とメモリ増強
その後、内蔵されていたHDDの内容を、センチュリーの「これdo台PRO」を使って、買ってきたSSDに丸ごとコピーして換装した。メモリも装着されていた1GB×2枚を取り外し、製品としての最大搭載容量(4GB)を装着した。
さらなるメモリ増強とOSの64bit化
メモリをフル実装
この機種の最大メモリ搭載容量は4GBとなっているが、チップセット(GM45)の仕様を確認すると、チップセットがサポートする最大メモリ容量は8GBであることが分かった。そこで、再びじゃんぱらへ行って、今度は4GBのメモリ2枚(中古。1,180円(税込)×2)を購入し、換装してみた。するとBIOSでもOS上でも正しく「8GB」と認識された。
64ビット版Windows 10のインストール
しかし、32ビット版Windowsではメモリは4GBまでしか使用されないため、このままではあまり意味がない。そこで、Windows10の64ビット版をインストールすることにした。32ビット版を64ビット版にアップデートすることはできないため、カスタム(新規)インストールを行った。この時点でプリインストールのアプリケーションやドライバ類は消えることになる。インストールを始めると、進行が異常に遅い。そこで、インストールを中断して原因を調査することにした。その結果、メモリを元の2GBに戻すと通常の速さでインストールが進行することが分かったため、一旦メモリを当初の2GBに戻し、インストールが終わったら再度8GBに換装することにした。
OSアップグレード後のドライバ類の設定
Windows10化が完了したあと、デバイスマネージャーを見ると、「大容量記憶域コントローラー」に「!」表示が付いている。ネット上の情報を見ると、これは内蔵のSDカードスロットのことのようなので、富士通のサイトからO2Microのドライバをダウンロードした。「!」が付いた状態でもSD/SDHCカードの読み込みはできていたが、ドライバインストール後SDXCカードの読み込みもできるようになった。
内蔵のタッチパッドは、WindowsからはPS/2マウスとして認識されており、使用できた。しかし、2本指でスワイプしてのスクロールができないため、こちらも富士通のサイトからSynapticsのドライバをダウンロードし、「Synaptics PS/2 Touch Pad」のドライバをインストールした。しかし、この機種はもともと2本指のスワイプでのスクロールには対応していないようで、パッドの隅をなぞることによる水平・垂直スクロールしかできないようである。ただそれもWindows10環境では使用できなかった。マニュアルによると指紋センサーをなぞることによるスクロールも一部のアプリでできるようだが、こちらもWindows10環境では動作を確認できなかった。
CPUと光学ドライブも換装
ここまでで、メモリとストレージの増設とOSのインストールができたので、他のハードウェアについても強化可能なところを変更していく。
CPU
この機種のCPUはCore 2 Duo P8400で、ソケットに装着され取り外し可能になっている。交換可能なCPUを調べてみたところ、Core 2 Duo T9900に交換できるようだったので、ヤフオクで入手し交換した。おまけで熱伝導グリスも付いていたが、熱伝導率が1.93W/m-kのものだったので、ビックカメラで買ったthermal grizzlyの熱伝導率12.5W/m-kのグリスを使用した。
光学ドライブ
光学ドライブはDVDドライブ(Panasonic製UJ-870A)だったので、こちらもヤフオクで同じPanasonic製のBDXL対応ドライブUJ-260を入手し、ベゼルを付け替えてPC本体に装着して改造を完了した。
結果
改造により、最終的なスペックはこのようになった。
項目 | 改造前 | 改造後 | 費用 |
CPU | Core 2 Duo P8400 | Core 2 Duo T9900 | 6,900円 |
メモリ | 2GB | 8GB | 2,380円 |
ストレージ | HDD 250GB | SSD 250GB | 3,480円 |
光学ドライブ | UJ-870A(DVD) | UJ-260(BD/DVD) | 3,100円 |
OS | Windows Vista Home Premium 32ビット | Windows 10 Pro 64ビット | – |
性能
ベンチマークテストとして有名な「CINEBENCH R23」で測定したところ、次のような結果になった。
項目 | 改造前 | 改造後 |
Multi Core | 474 | 894 |
Single Core | 331 | 476 |
最後に
蛇足であるが、このPC、HDDに前の持ち主の文書や写真などが入ったままになっていた。そういえば、「データ消去クリーニング済」のシールは貼られていなかった。大丈夫か、ハードオフ。