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【動画あり】ないないづくしのジャンクPCはLTEの夢を見るか

コンピュータ

前回の記事で、DELLのLatitude E7270のLTE対応に成功したため、今回はジャンク品として入手したLatitude 7390の復活を試みた。

筆者は中古品店を巡り、そのままでは動かないものの、(はんだごてまでは使わなくてもいい程度の)メンテナンスをすれば復活させられそうな「マイルドジャンク品」を買って、復活させる活動をしている。これを「保護猫活動」になぞらえて「保護デバイス活動」と呼んでいる。

「起動しない」ジャンク

今回入手したLatidude 7390は、商品説明では「起動しない」「ストレージ無」「メモリ不明」となっていた。

この時点では、起動しない理由は不明だったが、筆者は「きっと、メモリが付いていなくてBIOS画面も出ない状態のことを『起動しない』と言っているのだろう。メモリを挿せば復活するだろう」と楽観視して購入した。

メモリどころか…

早速、裏蓋を開けてみると、メモリはおろかバッテリーも抜かれていた。店頭で手に取っていれば、妙に軽いことでバッテリーがないことに気付いたかもしれなかったが、今回は通信販売で購入したので、届いてから初めてバッテリーがないことが分かった。

メモリ、ストレージ、バッテリーのいずれも抜かれていた。

このLatitude 7390はバッテリー内蔵の機種なので、まさか、バッテリーまで抜かれているとは予想していなかった。メモリ無し、ストレージ無し、バッテリー無し、のないないづくしである。

しかし、中途半端に劣化・膨張したバッテリーが付いてくるくらいなら無い方がマシ、と思うことにして、交換用のバッテリーと、バッテリーをマザーボードに接続するためのケーブルを別途調達した。

また、バッテリーをマザーボードに取り付けるためのネジも付いていなかったが、これは手元の余り物で間に合わせることにした。

電源は入るのか?

今回の個体には、ACアダプターも付属していなかったのだが、この機種は、USB Type-C端子で電源を取ることができる。

ACアダプタ端子のとなりにUSB Type-C端子がある

そこで、手元にあったMacBook Pro用のACアダプターを接続し、電源ボタンを押してみたところ、電源ランプが点灯し、ファンが回ることが確認できた。マザーボードは生きているようだ。

メモリを挿してみる

別途用意した、DDR4の8GBのメモリをDIMMスロットに挿し、再度電源を入れてみたところ、画面にDELLのロゴマークが表示された。ここでF2キーを押すとBIOS画面も表示された。ジャンク品の場合、ここまで来られただけでもいい方である。

ストレージを取り付けてOSをインストール

さらに、別途用意したM.2接続(PCIe 3.0接続、2280サイズ)の256GBのSSDを取り付けた後、Windows 10のインストールUSBからシステムを起動して、Windows 10 Proをインストールした。ここは何の問題もなく順調に進んだ。

バッテリー到着

バッテリーと接続ケーブルを調達できたので、Latitude 7390にバッテリーを取り付けた。これでやっと、外でも利用できるようになった。これまでは、AC電源がないと動かない「デスクノート」状態だったので、大きな進歩だ。

WWANモジュールを挿したものの…

ところで、Latitude 7390にはLatidute E7270と同様、SIMカードスロットが搭載されており、また、WWAN用のアンテナも配線されている。そこで、空きのM.2スロットに、これまたジャンクのWWANモジュールを挿し、アンテナ線も接続して、LTE通信ができるか確認してみた。

今回使用したWWANモジュールはSierra EM7430で、これはDELL純正品のDW5816eにあたるものである。なお、紛らわしいが、前回の記事で使用したEM7340とは別の型のものである。

スロットに取り付けたEM7430

Windows 10からは、EM7430はすんなり認識され、SIMカードを挿すと、SIMカードの電話番号も画面に表示された。

ここまでは順調だったのだが、いくら試しても通信サービスが「圏外」になってしまう。

さらにここで、解約済みの別のキャリアのSIMカードを差し込んでみたところ、「モバイルブロードバンドデバイスの設定」というポップアップが表示され、処理が「37%」まで進んだところでエラーになる事象が繰り返されるようになってしまった。事態悪化である。

「モバイルブロードバンドデバイスの設定」が37%まで進んだところで「失敗(エラー 82)」になってしまう

この状況では、使用したEM7430に異常があるのか、本体のWWANアンテナの異常(断線しているとか)で電波を掴めていないのか切り分けができないので、仕方なく他のWWANモジュールを調達することにした。

WWANモジュール(2個目)到着

そうしているうちに、切り分け用に調達したWWANモジュール(こちらは、EM7330という別の型番のものである)が届いたので装着してみた。

すると、今度はあっさりとLTEで接続された。ということは、EM7430に不具合があったか、本体との相性の問題ということになる。

WWANモジュール(3個目)到着

EM7330は日本国内においては、対応バンドの関係で事実上NTTドコモ(およびそのMVNO)専用となる。筆者はドコモ系のMVNOを使っているのでこれでも問題ないのだが、せっかくなので当初の予定通りEM7430(DW5816e)を使いたい。

そこで、EM7330と並行してEM7430も改めて調達した。

届いたEM7430(こちらには、DW5816eの刻印もある)をLatitude7390に取り付けると、今度はすんなり「接続済み」の表示になった。

やはり、最初のEM7430の個体に問題があったようだ。ネット上の情報を見ると、WWANモジュールは誤った操作によりロックがかかってしまうことがあるようで、筆者が手にした個体もそのようなものだったのかもしれない。

何はともあれ、最初起動すらしなかったジャンクPCは、最終的にはどこでもインターネットにつながるLTE対応モバイルPCとなったのであった。めでたし、めでたし。

動画

今回も記事の内容を動画にしましたのでご覧ください。