今回取り上げるのは、ソニー製のノートパソコンVAIO VGN-N50HB。「電源が入らないため初期化もできず、捨てようにも捨てられない」ということで、中のデータを消去することを条件に、友人から譲り受けたものだ。このPCの復活を試みる。
筆者は中古品店を巡り、そのままでは動かないものの、(はんだごてまでは使わなくてもいい程度の)メンテナンスをすれば復活させられそうな「マイルドジャンク品」を買って、復活させる活動をしている。これを「保護猫活動」になぞらえて「保護デバイス活動」と呼んでいる。
概要
このPCは、2007年頃の製品で、以下のようなスペックである。
CPU | Celeron M 430 1.73GHz |
RAM | 512MB |
HDD | 80MB |
OS | Windows Vista Home Basic |
Celeron M 430は32ビットのCPUで、64ビット命令セットには対応していないため、Windows 11を動作させることはできず、Windows 10が限界となる。
また、メモリはDDR2のスロットが2つあるが、合計で2GBまでしか使用できない。
これは、以前の記事で取り上げた、FMV-BIBLO NF/B70より低スペックである。
動作確認
「電源が入らない」ということであったが、ACアダプタを接続し、電源ボタンを押してみると、LEDが点灯する。また、HDDとDVDドライブが動作する音が聞こえてくる。通電はしているようだ。しかし、そこから先に進まず、起動ロゴやBIOSのメッセージも表示されない。それ以前に、液晶ディスプレイのバックライトが点灯していないようだ。
とりあえず、「CMOSクリア」を試みるため、分解してみた。マザーボードを見ると、ボタン電池ではなく、充電式のバッテリーが取り付けられていた。バッテリーのケーブルを抜き、マザーボード側の電極をショートさせてみる。
しかし、状況に変化がないため、メモリを交換し、HDDとDVDドライブも外してみるが、やはり起動しない。液晶ディスプレイの故障かと思い、VGAケーブルで外部ディスプレイに接続してみたが、何も表示されない。
さらに分解を進め、CPUも外してみたが、焼損などは視認できなかった。とりあえず、グリスを塗り直した。CPUファンの埃の除去や、マザーボードの各端子の清掃も行った。その後、再び組み立てて元に戻したが、やはり状況は変わらなかった。
こうなったら、マザボ交換だ!!
こうなると、もう、マザーボードが死んでいるとしか考えられない状況である。ここで、ヤフオクを検索してみると、都合のいいことに、VGN-N50HBのマザーボードが単体で出品されているのを見つけた。しかも、CPU付きである。
無事、マザーボードを入手できたので、元のマザーボードと交換し、電源を入れてみるとすんなり起動した。やはり、マザーボードに異常があったようだ。
マザーボードを丸ごと交換する、というのは、修理としては「負け」な気もするが、PCとして復活はしたので、成功ということにしておこう。
動画
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