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【動画あり】2024年の今、iMac 2011を復活させる

コンピュータ

店頭で里親を待つデバイスたちを保護して復活させるシリーズ。今回は、13年前のiMacだ。

 筆者は中古品店を巡り、そのままでは動かないものの、(はんだごてまでは使わなくてもいい程度の)メンテナンスをすれば復活させられそうな「マイルドジャンク品」を買って、復活させる活動をしている。これを「保護猫活動」になぞらえて「保護デバイス活動」と呼んでいる。

今回の「保護デバイス」は?

今回「保護」してきたのは、iMac (21.5-inch, Mid 2011)である。

今回「保護」した、iMac 21.5-inch, 2011年モデル。前面パネルに室内が映り込んでいたため、画像を加工してある。

値札の表記では、「動作未チェック」とのことだったが、店頭で確認させてもらうと、起動音が鳴って画面が点灯し、「?」の付いたフォルダのマークが点滅表示された。OSが無いため起動できない状態のMacの一般的な動作だ。

OS無し、付属品は電源ケーブルのみ、という状態で税込2,980円、さらにクーポンで100円引きで、総額2,880円で保護(購入)してきた。

家に連れて帰って、早速動作を確認してみる。

本体に電源を接続し、電源ボタンを普通に押すと、HDDの動作音(カリカリッ…)に続けて光学ドライブの動作音(キュイン)が聞こえ、Macの起動音が鳴った。

昨今、ファン以外は無音化したPCが増える中で、「音でPCの動作状態を推し量る」という体験を久しぶりにしたような気がする。

とりあえずOSをインストール

以前の記事でも述べたように、この年代のMacはすでにインターネットからのOSインストールができなくなっている

そのため、インストール用のUSBメモリを作成し、この機種の最終対応OSである、macOS High Sierra(10.13)をインストールした。

OSをインストールしたことで、この個体のスペックが確認できた。

CPUIntel Core i5 2.7GHz
メモリ12GB(4GB+4GB+2GB+2GB)
HDD1TB
この個体のスペック

iMac 2011には、CPUがCore i5で、クロック周波数が2.5GHzのモデルと2.7GHzのモデル、さらに直販限定でCore i7の2.8GHzのモデルがあるが、本個体は2.7GHzのモデルであることが分かる。

その標準の構成と本個体を比較すると、メモリ容量だけが異なっている。元々2GB×2枚のところに、4GB×2枚を増設したものと考えられる。それ以外は、2.7GHzモデルの標準構成のままのようだ。

ハードウェアには異常が無さそうであることが分かったので、これを今できる範囲で快適に使用することを考えたい。

スペックアップ

ここからは、このiMacをより活用するために、メンテナンスやスペックアップを考えたい。

ストレージ

この機種のスペックを見たとき、まずネックとなるのは、ストレージがHDDであることだろう。そこで、ありきたりではあるが、HDDからSSDへの換装をしてみたい。

HDDが交換されていた

iFixitのページを参考に分解した。分解には前面のガラスパネルを取り外すための吸盤が必要で、筆者は100円ショップで2個セットで売っているものを使用したが、これでも大丈夫だった。

分解してみると、HDDが2.5インチ、5,400rpmのものに交換され、ネジ1つと両面テープで雑に固定されていた。本来は3.5インチ・7,200rpmのものが搭載されているはずで、これは分解・改造歴のある個体だったわけだ。

事前に調べたところでは、この機種のHDDは温度センサーを搭載した特殊仕様で、普通のSATAのHDDに換装すると、(温度センサーからの信号がないため)冷却ファンがフル回転し続けてしまうという。

雑に取り付けられた2.5インチ、1TB、5,400rpmのHDD。

この改造によって、HDD固定用のもう1つのネジと、ピン2つが欠損しているため、別途用意した。2.5インチのドライブを取り付けるため、2.5インチから3.5インチへの変換マウンタ(オウルテックのOWL-BRKT08(B))も買ってきた。

2.5インチから3.5インチへの変換マウンタ(左)と、iMac専用のHDD固定用のブラケット(右)

そして、手元にあった512GBのSSDに交換する。

温度センサー

この個体は、HDDが一般のSATA HDDに換装されているため、起動してから数分たつとファンが回りっぱなしになる。そのままでも使用はできるが、やはりうるさい。

ネット上の情報を見ると、いくつかの対処法があるようだが、ここは素直にサードパーティ製の温度センサーを買って取り付けることにする。

iMac 2011年モデル専用のストレージ温度センサー(OWC製)

このケーブルをロジックボードとSSDとの間に挟み、温度センサーをSSDに貼り付けることでファンが適切な強さで回るようになる。

メモリ

続いては、メモリである。iMac 2011には、DDR3 SO-DIMM(ノートパソコン用)のメモリスロットが4本あり、この個体には4GB、4GB、2GB、2GBのもの(PC3-10600S、2R×8)がそれぞれ搭載されている。公式には、最大で16GBまで積める(非公式には32GBまでいけるようだ)ことになっているので、2GBのもの2枚を外して、手持ちの4GBもの2枚に挿し換えた。これで、メモリも最大容量になった。

この状態で、換装したSSDに、macOS High Sierraを改めてインストールして今回の作業を終えた。

使い心地

さて、修理とスペックアップを行った後のiMac 2011の使い心地だが、期待通り起動や動作が速くなり、ファンもほとんど回らず静かになった。

この機種の致命的な(対処できない)弱点としては、USBが2.0だということだろうか。

あと、OSがHigh Sierraだと、Google Chromeのサポート範囲(2024年9月時点では、Big Catalina(10.15)以降)から外れているため、最新のChromeを使うことができない。これは地味に痛い。

2024年9月21日現在、Catalina(10.15)でChromeの最新版(128)を利用可能だが、「今後はBig Sur(11)以降にのみ対応する」旨の警告が表示される。

すでに、公式サイトからダウンロードできるChromeのインストーラは、Big Sur以降でないと動作しないようになっており、Catalinaにインストールするには、古いバージョンのインストーラを自分で用意する必要がある。

この記事では取り上げないが、Open Core Legacy Patcher(OCLP)を使って、本機でmacOS Sequoia(15)を動かすことができた。実用性を考えると、Big Sur(11)あたりにしておくのが妥当だろうか。

今回のまとめ

2,880円で買った中古の本体のために、6,800円の新品のパーツ(温度センサー)を買うのはちょっと躊躇したが、それでも1万円程度(メモリやSSD等は手持ちの余剰品を使用)で、動くMacが手に入ったのだからお得だったと思う。

筆者はM1 Macをメインで使っているが、「保護デバイス活動」をするには、まだ当分の間はIntel Macも持っておく必要があると考えているので、このiMacをそれに充てたい。

なお、iMacのうち吸盤で前面パネルが外せるのはこの2011年モデルまでで、2012年以降のモデルでは、接着剤の除去が必要になり、作業の難易度が一気に上がる。その点においても、今回2011年モデルを手にできたのは幸運だった。

最後に、いつものお約束ではあるが、本記事で紹介している作業は全て自己責任となるので、ご了承いただきたい。

動画

今回も記事を動画にしましたので、こちらもあわせてご覧ください。