アスキーからの発売が断念され、その後D4エンタープライズから改めて発売されていた1チップMSXが届いた。
まず、手始めに画面出力周りを試してみた。
今回のバージョンでは画面出力はコンポジット、Y/C(S端子)、RGBの3種類あり、コンポジット・Y/CとRGBは排他使用となっている。手元にあるモニターで画質などを確認してみた。使用したモニターは次の通り。
PVM-14L1…業務用ピクチャーモニター。ソニー製。14インチCRT
DT-V1710C…放送用マルチフォーマットモニター。ビクター製。17インチCRT
HM903D B1…PC用RGBモニター。イーヤマ製。19インチCRT
LCD-7100V…PC用RGBモニター。センチュリー製。7インチLCD
【2006.11.23 追記】
SC-D4…ダウンスキャンコンバータ。バッファロー製
PowerPresenter1280…ダウンスキャンコンバータ。カノープス製
【表】1チップMSX側の出力モードをモニターの端子の組み合わせ
モニタ・端子\出力モード | コンポジット Y/C |
RGB | |||
15kHz | 31kHz half | 31kHz full | |||
PVM-14L1 | コンポジット | ○ | – | ||
Y/C | ○ | – | |||
DT-V1710C | コンポジット | ○ | – | ||
Y/C | ○ | – | |||
RGB | – | × | × | × | |
HM903D B1 | RGB | – | × | ○(暗い) | ○(明るい) |
LCD-7100V | コンポジット | × | – | ||
RGB | – | × | ○(暗い) | ○(明るい) | |
SC-D4 | RGB | – | × | ○(暗い) | ○(明るい) |
Power Presenter1280 | RGB | – | × | ○(暗い) | ○(明るい) |
○…映った、×…映らなかった
【2006.12.4 追記】初出時、15kHzと31kHz halfが逆になっていました。訂正させていただきます。
画質は実機より劣る、というのが第一印象であった。特にコンポジット出力は色のにじみが大きいので、S端子で接続した方がよいと思う。
コンポジットについてはLCD-7100Vのみ映らなかった。これは実機(FS-A1F,FS-A1ST)でも同様だったので、図らずも1チップMSXの互換性の高さが示された格好だ。
1チップに搭載されたRGB出力はもともとMSXにあったRGB出力の互換用というよりは、一般的なPC用RGBモニターに接続するための便宜を図るために搭載されたものだが、これはあまり芳しくなかった。上の表の通り、コンポジットは映らなかったLCD-7100VだけがRGB信号を正しく表示できるという意外な結果となった。
LCD-7100Vは、VGA(640×480)の60Hzしか受け付けないなど、PC用RGBモニターとしてはかなり対応範囲の狭い製品だが、1チップMSXとの相性がちょうどよかったようだ。
一方、マルチスキャンであるはずの、HM903D B1ではPrtScキーの押したときに(1チップMSXではPrtScキーを押すと出力モードが切り替わる)周波数が変化したことは検知するものの、結局何も映すことができなかった。
【2006.11.23 追記】PrtScキーではなく、本体底面のディップスイッチにより、出力モードを切り替えて再度実験したところ、HM903D B1でも正常に映すことができた。PrtScキーによる起動後の周波数変更に追従できなかったようだ。
さらに、スキャンコンバータ2機種でも試してみたところ、いずれも正常に表示できた。
また、コンポーネント信号だけでなくRGB信号にも対応しているはずのDT-V1710C+コンポーネント/RGB信号用インプットボードIF-C01COMの組み合わせでは、いずれのモードでも色がおかしいか同期が取れないかのどちらかで、正しく映すことはできなかった。ただしこれはWindows PCでも同じではあった。もともとPC用モニターではないので、仕方ないとも言える。
周波数決め打ちのLCD-7100Vで映せて、マルチスキャンのHM903D B1で映せないということから推測できるのは、1チップMSXが出力するRGB信号は映像自体の信号は正しいものの、同期信号が正しくないのではないか、ということだ。
なお、今回試した中で最もきれいに映ったのはLCD-7100Vに31kHz fullモードで映した場合だった。また、PVM-14L1とDT-V1710Cのコンポジット・Y/C入力では、ノンインタレースモードでは走査線と走査線の間がスカスカで、インタレースモードにする(BASICで、SCREEN ,,,,,3 と入力する)と若干ちらつくものの走査線の間が埋まり見やすくなった。家庭用テレビでも液晶・プラズマの場合は同じようになると思われるが、CRTではノンインタレースの方が見やすいと思われる。
【動画】1チップMSXに液晶ディスプレイとキーボードを接続して起動(15秒)
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